1997 ドイツ−イタリア ツアー編

 ヨーロッパ美術紀行として、お客様16名と1997年10月9日より11日間、おもにドイツからイタリアを旅して来ました。私が以前、ドイツで生活し、美術史を学んでいた時には、なかなか日本には紹介されていない様な所へもよく旅しました。そんな事から、なんとか美術館を中心に楽しい旅が出来ないものかと思ったわけです。それと私がいつも思う事なのですが、宗教画でも抽象画でも、突然生まれたわけではなく、その生活の中からその歴史と共に生まれて来ているのですから、その流れを実際にその町で体験できるチャンスがあるならば、それはすばらしい事であり、ますます皆さんにとって西洋美術が身近で楽しいものになると思っています。
 今は昼に日本を発つと時差の関係ですが、その日の夕方にはヨーロッパの町に着いています。我々も夜にはフランクフルトで本場のソーセージを頬張り、ビールを味わっていました。北国ではそろそろ夜の時間が長くなり初めていて、まだうす暗い翌朝には、意外とお美味しいドイツのパンやコーヒーに皆さんびっくりしていましたし、私もドイツは10年ぶりだったので、ホテル近くのキヨスクでハガキや雑誌など買うのもなつかしい思いでした。このキヨスク、ヨーロッパでは、24時間営業の店などありませんし、自動販売機もありませんから、なかなか便利なものです。
 いよいよ、ロマンティック街道を南下し、それこそ絵のような中世の町並みが残るローテンブルクへ。聖ヤコブ教会では、リーメンシュナイダーの木彫作品「聖血の祭壇」をみて、昼食後ニュルンベルクへ。ドイツルネッサンスの巨匠デューラーの生家を訪ね、今でも印刷できるプレス機に触れ、感激しました。版画に興味のある方であれば必見です。デューラーもイタリアにあこがれて旅し、ドイツにルネッサンスをもたらしたのですが、我々もその道をたどります。
 ミュンヘンでは、丸一日、美術館を中心に観光しました。ドイツの美術館は、ドイツ人の性格のように、合理的で整理されていて充実しています。なんといっても、世界の名画をゆっくり鑑賞できるのです。今回はノイエピナコテークで、中世から近代までの名画を、そして、抽象画の父カンディンスキーがいかに抽象画と取り組んだかわかるという、レンバッハ美術館を訪ねました。又、もちろん、本場のビールを昼も夜もたっぷりと味わいました。
 今回は一般のコースではあまり訪れない南ドイツアルプス地方にも行きました。特に、バイエルンの民が今でも愛するルードビッヒU世が、その生涯をかけて建てた夢のお城三個所すべてをみてもらいました。ポスターで見かけるノイシュバンシュタイン城、王の別荘リンダーホーフ城、そして湖の島に造られたヘレンキムゼー城。ここは、王がベルサイユ宮殿をそっくりまねたもので、私もヨーロッパで初めてみた思い出のお城です。またこの地方には、ドイツロココの傑作、ビース教会、童話の絵や聖画の壁画で有名なオーバーアマガウの町、冬季オリンピック開催を誇る一級リゾート地ガルミッシュ、パルテンキルヘン、ドイツで最も美しい所と言われるベルヒテスガーデン、ケーニッヒ湖など、その自然、文化共にすばらしく、ドイツを旅すると、道路整備の快適さ、家々の窓辺を飾る花々、町並みの美しさ、その豊かさに心なごみます。
 我々は、イタリアに入る前に、モーツァルト生誕地のザルツブルクにも一泊し、そこでは、ホーエルザルツブルク城での夜会ミニコンサートまで楽しみました。
 国境越えでは、オーストリア側はすでに一面の銀世界でしたが、イタリア側、コルティナ・ダンペッツォの絶景を眺めながら、南のやわらかい光の中、ベニスに着きました。
 ベニスでは、サンマルコ広場が膝まで水浸しになり、びっくりしましたが、それでもゴンドラに揺られ、絵画もガラスも堪能しました。また、パトヴァでは、ミケランジェロも刺激を受けたという、ジョットの礼拝堂を見学し、いよいよルネッサンスの華フィレンツェです。町全体が芸術品の様なここでは、朝五時起きで、ウフィツィ美術館へ一番乗りしましたし、アカデミア美術館でも、ダビデ像にうっとりしてしまいました。中世のもう一つの名華、シェナを通り、ついにローマまでたどり着きました。
 ローマでは、バチカン美術館、システィーナ礼拝堂を中心に、そのすばらしさに涙し、鳥肌が立ちました。イタリアが偉大なのは、その文化、歴史の奥深さと人間の明るさでしょうし、食、歌、恋がイタリア人の心とか。夜は、カンツォーネに酔いしれ、男も女も買い物にまで走り回り、今のイタリアも味わいました。 本当に駆け抜けた旅でしたが、皆さんの優しい心に助けられ、私にとっても有意義な体験となり、楽しい思い出となりました。今年も南仏を中心に出かけるつもりです。
 

■ご感想はこちら > E-MAIL k-s-werk@msj.biglobe.ne.jp  (佐々木久見子)
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