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■その1・たまの介、ついでに買われる
クリックで拡大  たまの介は、森野さんちのネコです。

 10年以上も前の大阪のこと、ゆうこさんと結婚したばかりの森野のおじさんは、街にある大きな百貨店に出かけました。たまさまのガール・フレンドを探すためです。

 森野のおじさんにゆうこさんがいるように、たまさまにもたまこちゃんが必要です。おもちゃ売り場の台の上には、ぬいぐるみがいっぱいですが、たまさまと同じ白毛のかわいいネコ、たまこちゃんはすぐに見つかりました。一番の美人を探せばいいんですから、簡単です。じっとヒト待ち顔のたまこちゃんは、嬉しそうに森野のおじさんに抱っこされました。

 さて、森野のおじさんがたまこちゃんと帰りかけた時、横の台から声がします。クリックで拡大 「ねぇ、ぼくもちゅれてって、ぼくもちゅれてってよぉ」とその声はせがみます。森野のおじさんが声のするほうを見ると、灰色のちびネコがおじさんを見上げて、にっと笑いました、「ねぇ、ぼくもちゅれてってよぉ。ねぇったらぁ」精一杯のお愛想のつもりか、短いしっぽの先が一生懸命振られています。

 おじさんは、ちょっと考えました。お金をあまり持っていなかったのです。この様子を心配そうに見ていたたまこちゃんが言いました、「この仔、私と一緒にずっと待っていたのよ」

 とうとう森野のおじさんは、このもみ手をしているちび介をつまみ上げました。

 こうしてたまの介は、森野さんちのネコになったのです。
■その2・玉の介、食べる
たまの介の一番好きなことは、食べることです。それはもう、みもふたもありません。

 街の大きな百貨店から、たまこちゃんと一緒につれて帰られるときの「ぼく、あんまし食べないし、おりこうにしていられるよ」という言葉は、今から考えると、恥ずかしいようなセリフでありました。

 より好みもせず何でも食べますし、食べられるものなら、何でも好きです。有子さんは、拾い食いはしないようにとしかりますが、森野のおじさんは、そんな月並みな注意は、このちびネコには、無用なんじゃないかと、ひそかに考えています。道に落ちているお菓子を食べても、たまの介がおなかを壊すとは想像つかないからです。たとえ半年前のカビのはえたパンを食べたところでけろりと平気な顔でおかわりをねだりそうです。それでも特に眼のないのは、お芋!
クリックで拡大 お母さんがお台所で小芋を煮ておられるのは、遠い離れからでも匂いでわかりますし、ふかしたさつま芋の時は、思わずわれしらず「おいも・おいも・おいもーーっ」と叫んでしまいました。

 アイスクリームでもチョコレートでもお団子でも、いただくときは、ゆうこさんは、まずたまさまからあげます。たまさまの次は、たまこちゃん、たまコンとたまポン(狐と狸の双子なの)、そして終いにさっきから一番小さな体に一番大きなお口をあ〜んと開けて待っているたまの介の番が来ます。時々順番が待ちきれなくて、ほろほろと泣けてきます。出来るなら、何でも独り占めしたいくらい。

 クリックで拡大今日ゆうこさんは、おやつにりんごをむいてくださいました。たまの介は、口一杯がつがつとほおばって食べました。その後は、丸くなったおなかを抱えて、お昼寝です。

 だって、この世には血の涙を流すマリア像があるというのだもの、よだれをたらすぬいぐるみがいたって、ちっともおかしくないじゃない、ねぇ。

■参考リンク集
美術団体・アートフォリオ/森野有子さんのコーナー
(版画作品がみられます)
http://www.artfolio.org/morino/

(C)Morino Yuko 2002.9.26

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