カピタン脇田の単身赴任日記

4 福を呼ぶ猫達

文、写真:脇田安大(わきたやすひろ)

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長崎は、ときおり暑い日もあるのですが、山には本格的な秋の気配が忍び寄り、そろそろ忘年会のスケジュールを気にする季節のなりました。年明け後、すぐに2000年問題のシステムテストに入るため、年末年始は任地を離れることができず、おかげで長崎の正月をゆっくり過ごせそうです。西洋、東洋、中華が交じりあった長崎の正月はどんなイメージなのかよく分かりませんが、一足先に福を招く企画を発見しましたので、紹介しましょう。

島原のステキなギャラリー発見

▲ 長崎県南部の島原は、有明海をはさんで熊本県と向かいあっている(フェリーで40分)。あの「火砕流」災害で注目をあびた普賢岳を中心とする雲仙のふもとに位置し、その伏流水が街のあちこちに湧き出す「湧水の街」でもある。古い街並みには水路があり、鯉がゆったりと泳ぎ、シットリとした風情ある生活を垣間見ることができる。
▲ 10月のある日、島原ソーメンを食べに行ったついでに、新聞で見つけた絵画展に立ち寄ろうと、会場である喫茶ギャラリー「速魚川(はやめがわ)」を探すが、なかなか見つからない。電話で2回ほど問い合わせてやっと発見。
それもそのはず、明治時代から続く金物屋の一部にあるため、一般的なギャラリーとはイメージが全く違っており、その前を4回も通りながら、見過ごしていたのだ。店の入り口には、ひとまたぎできる水路がつくられて、クレソンの陰にメダカなどが泳いでおり、中に入ると中央に池を配した中庭がある
▲ 渡り廊下と昔の居間がギャラリーに当てられており、イロリや古いたんす・ちゃぶ台に囲まれたスペースは、年代を感じさせる。同じ建物の中、ガラス戸を隔てて、その奥が現役の金物屋として営業しているのもうれしい。
中庭の横では、湧水で入れたコーヒーを楽める喫茶コーナーがあり、白玉を入れた当地名物「寒ざらし」を頼むこともできる。と言うことで、街の雰囲気もあわせ、ギャラリー自体が立派なアートになっているといっても過言ではない。
■動くマネキ猫
▲ すぐ向かいを見ると、これまた風情のある和楽器店「絃燈舎」があり、のぞいてみると、カツオ君がいるらしい。このカツオ君から「いつも退屈しているので遊びに来てほしい」とのメッセージがあったので、ニャ〜と呼んでみると、本当に店の奥から出てくるではないか。毛並みが美しく、なかなかのオトコマエで、シッポも立派(それに比べると、ウチの黒猫はブタシッポで情けない)。
あごの下をなでると、すぐにゴロニャ〜ンするなど、結構、人なつっこい。この分では、カツオ君につられてやってくる客もあるだろうから、これぞ「招き猫」と呼ぶにふさわしい。でも、和楽器店なので、三味線の材料にされないよう、注意することを祈る。 (その後、雑誌を見ていたら、この「絃燈舎」は、2階をギャラリーとして開放していることが判明。そうとは気付かず、立ち寄ることが出来なかったのは残念だが、こうした昔の街並みを活かした魅力ある取組には、頭が下がる思い)
■本物の招き猫
▲ 金物屋のショーウインドウに招き猫があるので、たずねると、街全体で「来福展」をやっているらしい。メイン会場は、商店街の奥にあり、アーケードの一角にある怪しげな入り口をくぐると水が流れ、名前も「水屋敷」とそのものズバリ。明治or大正の建物で、歩くと床がきしむが、現在でも人が住んでおり、その一部を開放しているとのこと。

▲ 展示スペースは、古い畳の部屋で、ウジャウジャと招き猫が置かれ、それにしてもよくここまで集めたものだと、あまりのアホらしさに驚嘆。結構、人が入っており、若い女性がカワイイを連発しながら選んでいるので、ついついオジサンもあくびをしている黒猫を400円で買ってしまう(ウチの黒猫へのミヤゲ)。
▲ このように、減価償却が終わった建物も、生活に溶け込んだ味のあるギャラリーとして使えることを再認識。そう言えば、人間界でも、会社勤め中は面白味がなくても、減価償却が終わった定年後に本当の味が出てくる人もいるような気がする。こんなギャラリーが出来ると楽しいと感じた一日でした
▲ PS 帰りに、アーケードの商店の出窓にタケシ猫発見!

■脇田安大の植物画 http://www.artfolio.org/wakita/

1999.11.20 (C) Yasuhiro Wakita
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