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1.うなぎアート

文、写真:脇田安大(わきたやすひろ)



落下傘読者の皆様、お元気のこととお喜び申し上げます。

長崎生活も二ヶ月近くが立ち、少し出歩くようになってきました。

長崎では、五月中旬からホタルが出始め、このところ最盛期となっています。現在出ているホタルはゲンジボタルなので、関東のヘイケボタルとは違って、大きく立派で、光もクッキリしています(ベランダのホタル族の光よりも強いくらいです)。

ところで、変なものを発見しました。
先日、雲仙普賢岳で有名な島原半島にカヌーをしに行った帰りに、道端に「うなぎアート」の看板があり、思わず立ち寄ってみましたが、留守で入ることができませんでした。
想像するにつけ、「うなぎアート」とは、

@人がうなぎのようにクネクネしながら悶絶パフォーマンスを繰り広げる、
A芸を仕込んでうなぎショーを見せる、
Bうなぎを固めてメデウーサの髪の毛のようにする・・・と空想が広がるのですが、予想もつきませんでした。

先週、店が開いていて、入ってみると、予想が全く裏切られました。何と、うなぎの革をなめして染色し、それを切り貼って絵にしたものだったのです。 うなぎと言っても、原始的な種である「ヤツメウナギ」で、東北の方の淡水にいる一般的なヤツメウナギではなく、その仲間で海水に住むメクラウナギが原料です。40cm程度らしいのですが、その革をなめすとスウェードのような滑らかな状態になり、相当の強度が出るそうです。試しに私も思い切り引っ張ったのですが、特に縦方向はまずちぎれません。

因みに、こうした物を作ったのは、戦時中で米国等から革が手に入りにくくなったため、うなぎを使ったのが最初で、これを占領下の韓国で制作し、財布や服を作ったようです。このため、現在でも韓国では作っているそうですが、発祥地である日本では、私の会った人がお父上に習った唯一の人だそうです。それを、絵心のある女性達が切り貼りして、絵にしているとのことでした。


素材には、必ずしも、うなぎだけではなくて、一般の魚も使えるようです。永谷園が作っている鮭茶漬けの原料である、鮭の革を使えないかと相談を受けて、鮭の革をなめして張り付けている絵もありました。鯛も使えるそうで、みると鯛の網目模様が屋根瓦に使われていて、思わず吹き出してしまいました(それにしても永谷園は変なところに気がつく会社だと思いました)。

このおじさんを見ていると、なめすことに生きがいを感じているようで、そのうち人の皮をなめして人革アートを作ってしまうのではないかと疑ってしまいたくなります。

といった様子で、平和ボケした一般人の常識を粉砕する脳天カラタケ割りの発見がありましたのでお知らせします。この他にも、色々ありそうなので、機会があればお知らせしたいと思います。

1999.6.3 (C) Wakita Yasuhiro
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